矯正治療


歯の並びが悪いと、ものが挟まり歯周病の進行や虫歯を作るリスクになります。

当院では、見た目がきれいになる為の矯正治療も大切ですが、口腔環境を良好に整えるための矯正治療の重要性を来院さえた患者さんにお伝えしています。

正常咬合と不正咬合の種類

【正常咬合】

正常咬合は、上下の歯が適切に整列し、正しく咬み合わさる状態を指します。これは、健康的な口腔機能と美しい笑顔の基礎となる重要な要素です。以下に、正常咬合の主要な特徴を詳しく説明します:

 

① 歯の配列

上下の歯は、それぞれが適切な位置にあり、歯並びが整っています。歯は隣接する歯との間に適切なスペースがあり、重なり合うことなく、ギャップも存在しません。

 

② 上下歯の咬合関係

上顎の歯は、下顎の歯よりもわずかに前方に位置します。前歯の場合、上顎の前歯が下顎の前歯を垂直に覆うように重なります(過蓋)。咬み合わせる際に、各上顎の歯は対応する下顎の歯と追加の1つの歯に接触することが理想的です。

 

③ 正中線の一致

顔の中心線に沿って、上下の歯の正中線が一致しています。

 

④ 歯列の曲線

歯列は、上顎では「スピーの曲線」、下顎では「ウィルソンの曲線」に従ってわずかに曲がっています。これにより、咀嚼時の効率が最適化されます。

 

⑤ 歯と顎の健康

咬合は、歯、顎関節、そして顎の筋肉に不必要なストレスをかけません。このバランスが保たれていることで、咀嚼、発音、そして呼吸がスムーズに行われます。

 

正常咬合は、健康な口腔機能を維持するために重要であり、不適切な咬合は咀嚼障害、発音の問題、顎関節症、そして歯の摩耗や損傷につながることがあります。矯正治療の主な目的の一つは、正常咬合の達成や回復にあります。


【空隙歯列】

空隙歯列は、歯と歯の間に自然に隙間が存在する状態を指します。この状態は、特に上顎の前歯間によく見られますが、歯列全体にわたって隙間が存在することもあります。空隙歯列は、機能的な問題を引き起こすわけではないため、治療の必要性は主に美容的な理由から来ます。

 

空隙歯列の原因

空隙歯列にはさまざまな原因がありますが、以下に主なものを挙げます。

 

・遺伝的要因:歯のサイズや顎の大きさに影響する遺伝子が関係している場合があります。

・癖:舌の癖(例:舌を歯に押し付ける)、指しゃぶりなどが原因で隙間が生じることがあります。

・歯の欠損:歯が抜けたり、もともと歯がない場合(無歯症)に隙間が生じます。

・歯のサイズ:歯が小さすぎる場合や、顎が比較的大きい場合に隙間が生じやすくなります。

・歯周病:歯周病による歯のサポート組織の損失が原因で歯が動き、隙間が生じることがあります。

 

空隙歯列の治療

空隙歯列の治療は、患者の要望と隙間の原因に基づいて行われます。以下に主な治療方法を挙げます。

 

・矯正治療:ブラケットやクリアアライナーを使用して、歯を動かし隙間を閉じる方法です。

・ベニア:歯の表面に薄いセラミックのシェルを貼り付けることで、歯の幅を広げ隙間をカバーします。

・ボンディング:歯科用の樹脂を使用して、歯の幅を広げ隙間を埋める方法です。

・冠:歯の形やサイズを変えるために、歯に被せものをすることで隙間を修正します。

 

治療の選択

空隙歯列の治療法は、隙間の大きさ、歯の健康状態、顔貌のバランス、患者の美容に対する要望などによって決定されます。治療前には、歯科医師としっかりと相談し、治療計画を立てることが重要です。美容的な理由だけでなく、時には発音の改善や咀嚼機能の向上を目的とする場合もあります。


【逆被蓋】

逆被蓋は、咬合異常の一種で、通常、上顎の前歯が下顎の前歯よりも後ろに位置する状態を指します。これは「下顎前突症」とも関連があり、見た目の問題だけでなく、咀嚼や発音にも影響を及ぼすことがあります。逆被蓋にはいくつかの特徴と治療方法があります。

 

逆被蓋の特徴

・上顎と下顎の不均衡:逆被蓋では、下顎が上顎よりも前方に突出していることが一般的です。

・咬合の問題:前歯が正しく咬み合わないため、咀嚼効率が低下する可能性があります。

・美容上の懸念:逆被蓋は顔のプロファイルに影響を与え、自信の低下や社会的な不安を引き起こすことがあります。

 

逆被蓋の原因

逆被蓋は、以下のようなさまざまな原因によって引き起こされることがあります。

・遺伝:家族内で同様の咬合問題が見られることがあります。

・癖:幼少期の指しゃぶりや長期間の哺乳瓶使用など、特定の癖が原因で発生することがあります。

・成長の問題:上顎や下顎の成長に不均衡がある場合に発生します。

 

逆被蓋の治療

逆被蓋の治療は、患者の年齢や状態の重度によって異なりますが、以下のような方法があります。

・機能的矯正装置:成長期の子供に使用されることが多く、顎の成長を誘導して位置を修正します。

・矯正治療:従来のブラケットとワイヤーを使用した矯正治療や、クリアアライナーを使用した治療が含まれます。

・外科手術:成人の重度の逆被蓋の場合、顎の位置を修正するための外科手術が必要になることがあります。

 

治療計画は個々の患者に合わせてカスタマイズされ、時には複数の専門家が関与することもあります。適切な治療を受けることで、機能的な改善だけでなく、美容的な結果も得られることが多いです。


【反対咬合】

反対咬合(はんたいこうごう)、またはクロスバイトは、正常な咬合関係における上下の歯の整列が不適切である状態を指します。この状態では、一部の上顎の歯が下顎の歯よりも内側に位置するか、またはその逆で、本来上顎の歯によって覆われるべき下顎の歯が外側に位置します。反対咬合は、前歯(前方反対咬合)や側歯(側方反対咬合)、あるいはその両方に影響を及ぼすことがあります。

 

反対咬合の種類

前方反対咬合(アンダーバイト):前歯において、下顎の歯が上顎の歯より前方に出ている状態。

側方反対咬合:一部の側歯がクロスバイトの位置にある状態。上顎の歯が下顎の歯の内側に咬み合っています。

反対咬合の原因

反対咬合の原因は様々ですが、主に以下のものが含まれます。

 

遺伝的要因:顎の大きさや形、歯の配置は遺伝によって影響を受けることがあります。

癖や行動:指しゃぶりや舌の癖、長期間の哺乳瓶やおしゃぶりの使用など、成長過程での特定の習慣が反対咬合を引き起こすことがあります。

顎の成長の不均衡:上顎と下顎の成長速度に差がある場合、反対咬合が発生することがあります。

反対咬合の影響

反対咬合は、見た目だけでなく、以下のような口腔内の健康や機能にも影響を与えることがあります。

 

咀嚼の効率低下:咬合の不正確さにより、食べ物の咀嚼が困難になることがあります。

発音の問題:特定の音を正しく発音するのが難しくなることがあります。

顎関節症:顎の不適切な位置が顎関節にストレスを与え、痛みや機能障害を引き起こすことがあります。

歯の摩耗:不適切な咬合により、特定の歯に過度の圧力がかかり、早期に摩耗することがあります。

反対咬合の治療

反対咬合の治療方法は、その種類、重度、患者の年齢によって異なります。一般的な治療方法には以下のようなものがあります。

 

矯正治療:ブラケットやワイヤー、クリアアライナーなどを使用して歯を徐々に移動させます。

顎の成長誘導装置:成長期の子どもに対して、顎の成長を誘導する特別な装置を使用することがあります。

外科手術:成人の重度のケースでは、顎の位置を修正するための外科手術が必要になることがあります。

 

反対咬合の治療は、患者の生活の質を向上させ、美容的な問題だけでなく、咬合の機能を改善するために重要です。


【開咬】

開咬は、上下の歯が咬み合わない咬合異常の一種です。通常、前歯または側歯が正しく接触せず、口を閉じたときに前方または側方でスペースが生じる状態を指します。開咬は見た目の問題だけでなく、咀嚼や発音にも影響を及ぼすことがあります。

 

開咬の種類

開咬には主に3つの種類があります。

 

① 前方開咬:最も一般的なタイプで、前歯が咬み合わず、上下の前歯の間に空間ができます。

② 側方開咬:一方または両方の側方で歯が咬み合わない状態です。

③ 後方開咬:非常に珍しく、後方の歯が咬み合わない状態です。

 

開咬の原因

開咬の原因は様々ですが、以下に主なものを挙げます。

・遺伝的要因:家族歴が影響する場合があります。

・癖:長期間の指しゃぶりや舌の癖(舌突き)、ペン噛みなどが原因で発生することがあります。

・顎の骨格異常:上顎または下顎の成長異常により発生することがあります。

・習慣と口腔環境:長期間の哺乳瓶使用や異常な咀嚼習慣などが影響することもあります。

 

開咬の治療

開咬の治療は、その原因、タイプ、および患者の年齢によって異なります。

・矯正治療:ブラケットとワイヤーを使用した従来の矯正治療や、クリアアライナーによる矯正治療があります。

・機能的矯正装置:子供や成長期の患者に使用されることが多く、顎の成長を誘導し、位置を修正します。

・外科手術:成人で骨格の問題が原因の場合、矯正外科手術が必要になることがあります。

・習慣の変更:癖が原因の場合は、その癖を改善するための指導が行われます。

 

開咬の治療は、患者さんの具体的な状況に応じて個別に計画され、複数の専門家が関与することもあります。適切な治療を受けることで、機能的な改善だけでなく、見た目の改善も期待できます。


【過蓋咬合】

過蓋咬合(かがいこうごう)は、上顎の前歯が下顎の前歯を異常に覆う咬合異常を指します。これは、垂直方向(過蓋深度)における上下の前歯の重なりが過剰である状態を意味し、正常な範囲を超えると、見た目の問題や口腔機能に影響を及ぼすことがあります。

 

過蓋咬合の特徴

咬合の深さ:正常な咬合では、上顎の前歯は下顎の前歯を約1/3程度覆いますが、過蓋咬合ではこの比率が大きくなります。

歯列の不正:過蓋咬合は、しばしば他の歯列不正(例えば叢生歯列や歯列の不整列)と併発します。

顎の位置異常:上顎が前方に突出している(前突)場合や、下顎が後退している(後退)場合に見られることがあります。

過蓋咬合の原因

過蓋咬合の原因は多様で、以下のような要因が考えられます。

 

遺伝的要因:顎の形状や歯の大きさに関連する遺伝的特徴が影響します。

発育上の問題:顎の成長における不均衡が原因であることがあります。

習慣的な行動:指しゃぶりや舌突きなどの習慣が長期間続いた場合に影響を及ぼすことがあります。

過蓋咬合が引き起こす問題

過蓋咬合は、見た目だけでなく、以下のような問題を引き起こす可能性があります。

 

咀嚼機能の障害:過度に覆われた前歯により、食べ物の咬み切りが困難になることがあります。

発音の問題:特定の音の発音が正しく行えないことがあります。

歯や歯肉の問題:過剰な圧力が歯や歯肉にかかり、これらの健康に悪影響を及ぼすことがあります。

自信の低下:外見上の問題が自己評価に影響を与えることがあります。

過蓋咬合の治療

過蓋咬合の治療は、その程度や患者の年齢、関連する他の歯列不正の有無に応じて異なりますが、一般的には以下のような治療方法が考慮されます。

 

矯正治療:ブラケットやクリアアライナーを用いて、歯の位置を調整します。

成長誘導装置:成長期にある子供に対して、顎の成長を誘導し、咬合関係を改善するための装置が使用されることがあります。

外科手術:成人で過蓋咬合が顎の骨格異常によるものである場合、矯正外科手術が選択されることがあります。

適切な治療によって、過蓋咬合は改善することができ、咬合機能の改善や見た目の向上が期待できます。


【叢生】

叢生とは、歯が適切なスペースがなく、歯並びが密集している状態を指します。これは、歯列矯正で治療する一般的な問題の一つで、多くの場合、見た目の問題だけでなく、口腔衛生の問題にもつながります。

 

叢生歯列の特徴

・密集した歯並び:歯が互いに押し合っているため、重なり合ったり、ねじれたりして配置されます。

・不規則な歯の位置:歯が正常なアーチ形状に沿って並ばず、前後や左右にずれて生えることがあります。

・隙間の不足:新たに生える歯(特に親知らず)のためのスペースが不足していることが原因で起こることがあります。

 

伴う問題

叢生歯列は以下のような問題を引き起こす可能性があります。

・口腔衛生の悪化:密集した歯は清掃が難しく、プラークや歯石の蓄積を促進します。これは虫歯や歯周病のリスクを高めます。

・咬合不良:歯が正しく咬み合わないため、顎関節症や咀嚼機能の障害を引き起こす可能性があります。

・美容上の問題:密集した歯並びは見た目に影響を与え、自信の低下につながることがあります。

 

治療方法

叢生歯列の治療には様々な方法がありますが、以下のような矯正治療が一般的です。

・矯正装置:ブラケットとワイヤーを使用した従来型の矯正装置や、マウスピース型の透明な矯正装置(クリアアライナー)があります。

・抜歯:場合によっては、スペースを確保するために一部の歯を抜歯する必要があることもあります。

・間歯質削減(IPR):隣接する歯の間のエナメル質をわずかに削ることで、わずかなスペースを作り出します。

 

矯正治療は患者の年齢、叢生の程度、口腔内の全体的な健康状態を考慮して計画されます。正しい診断と治療計画に基づいた矯正治療は、叢生歯列を効果的に改善し、美しい歯並びと健康な口腔環境を取り戻すことができます。


矯正治療の流れ

①初診相談

問診や視診をしながら、矯正治療の概要を説明します。

 

②精密検査

歯や顔の写真、レントゲン写真、歯型や咬み合せなど、診断に必要な資料の採得を行います。

 ③診断・治療説明

精密検査の結果のもと、診断、治療計画、治療方法、治療期間並びに費用について説明します。

マウスピース矯正、ワイヤー矯正どちらが適切かについて提案させていただきます。

 ④治療開始


小児の矯正(咬合誘導)

【第Ⅰ期治療(小児矯正)】・・・乳歯列または、混合歯列の矯正治療

早期治療をしておかないと、顎の発育や咬み合せに良くない影響を及ぼす場合に行います。

また、早期治療を行う事により永久歯交換後の治療が簡単(治療期間の短縮など)になったり、 不要になったりします。

月に一回程度の通院です。治療期間目安:1年半~2年

 

【保定または、経過観察】

第Ⅰ期治療の目的を達成した後、永久歯に交換するまで、経過観察とします。

この時期は、2~6ヶ月に一回程度の通院です。

保定期間:1年半~2年

【終了】・・・永久歯交換が自然にうまくいった場合 


ワイヤー矯正(成人)

【第Ⅱ期治療(成人矯正)】・・・永久歯列の矯正治療

主に固定式(一部、取り外し式)装置を使用し、歯並びや咬み合せを整えます。

月に一回程度の通院です。治療期間目安:2年~2年半

【保定】・・・整った歯並びや咬み合せを安定させる治療期間です。保定期間目安:2年

【終了】・・・終了後は、年に一回程度の定期検診をすると良いでしょう。


ワイヤー矯正治療料金

矯正治療は、保険適応外となりますので自費診療となります。予め費用を明確にご提示いたします。

*下記治療費は全て税込みです。

 

① 初診・矯正相談料:無料

② 精密検査代:無料

③ 側方セファロのレントゲン代:6,600円

④ 便宜抜歯:1歯:6,600円

【大人全顎矯正料金】:803,000円

 

【大人部分矯正料金】

・簡単:110,000円

・複雑:220,000~330,000円

・アンカースクリュー1本:55,000円

・歯の挺出1本:33,000円

 

【子供矯正料金】

・第一期治療(混合歯列期):330,000円

・第二期治療(永久歯列期):440,000円

⑤ 毎月の装置調整料:5,500円

⑥ 保定装置の装着


矯正治療に伴う一般的なリスクと副作用について

最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間1、2週間で慣れることが多いです。

治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたるすることが重要です。

 

歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯茎がやせて下がることがあります。

 

ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。

 

装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。